新入社員が「この会社でよかった」と思える!迷子を生まないオンボーディング手順書の作り方【初日〜1週間編】

「あ、来週から新しい人入るんだっけ?」 ふとカレンダーを見て、冷や汗をかいた経験はありませんか?そして湧き上がる、「あれ、PCのセットアップ誰がやるの?」「最初の手順書、どこにあるっけ?」という不安。

正直なところ、手順書がないまま「背中で覚えろ」は、今の時代もう通用しませんよね。今回は、受け入れる側も、入ってくる側も幸せになれる、オンボーディング(受け入れ)手順書の作り方について、現場目線で一緒に考えていきましょう。

「口頭で教える」ことの限界とリスク

みなさんの職場では、新入社員への説明をどのように行っていますか? 「忙しいから、とりあえずOJTで!」と、現場の先輩社員に丸投げしてしまうこと、よくあると思います。でもこれ、実はとてもリスクが高いんです。

先輩社員も自分の業務で手一杯。その場の思いつきで教えてしまうと、「Aさんはこう言っていたのに、Bさんは違うことを言う」という情報の不一致が起きてしまいます。これ、新入社員にとっては一番のストレスなんですよね。

「わからないことがあったら聞いてね」と言われても、入ったばかりの人は「何がわからないかが、わからない」状態です。だからこそ、**「これを見れば、とりあえず最初の1週間は生きていける」という地図(手順書)**が必要なんです。

Step 1:一番の難関「PCセットアップ」はスクリーンショット命

入社初日、支給されたPCを開いて最初にぶつかる壁がセットアップです。 情シス担当がいる企業ならまだしも、中小企業や小さなチームでは、現場の担当者が行うことも多いですよね。あるいは、リモートワーク前提で「自宅でやっておいて」というケースも増えています。

ここで渡す手順書は、「過保護すぎるくらい」が丁度いいです。

  • Wi-Fiの繋ぎ方(SSIDとパスワードだけでなく、接続先の選び方まで)
  • チャットツールのインストールとログイン方法
  • kintoneなどの業務ポータルへのアクセス権限設定

ここは文字だけでなく、実際の画面のスクリーンショットをふんだんに使いましょう。「『設定』を開いてください」と書くより、歯車アイコンの画像を貼るだけで、伝わる速度は何倍にもなります。「そんな細かいことまで?」と思うかもしれませんが、初日の緊張の中で作業する新人さんにとって、その親切さが「安心感」に変わるんです。

Step 2:初日の動きは「タイムライン」で見せる

「PCの設定が終わったら、次は何をすればいいですか?」 この質問を新人さんに言わせてしまったら、手順書の敗北かもしれません(笑)。

初日の手順書には、具体的なタイムスケジュールを記載しましょう。

  • 10:00〜11:00:PCセットアップ、アカウントログイン確認
  • 11:00〜12:00:社内ルールの確認(勤怠入力、経費精算の場所など)
  • 12:00〜13:00:チームメンバーとのランチ(ここ大事です!)
  • 13:00〜15:00:主要な業務ツールの基本操作確認

このように流れが見えているだけで、人は落ち着くことができます。特に、「誰に何を聞けばいいか」の連絡先リストもセットにしておくとベストですね。

Step 3:最初の1週間は「完了」の達成感をプレゼントする

オンボーディング手順書の大事な役割は、業務を教えることだけではありません。「自分はここでやっていけそうだ」という自信を持ってもらうことも重要な役割です。

そこでおすすめなのが、1週間分のタスクを「チェックリスト形式」にすること。 例えば、「日報を提出できた」「共有フォルダの構成を理解した」「隣の席の〇〇さんと雑談した」など、小さなことでもOKです。一つひとつチェックを入れていくことで、「自分は前に進んでいる」という感覚を持てます。

また、ここがポイントなんですが、手順書の最後に「この手順書でわかりにくかった箇所を修正する」というタスクを入れてみてください。 新入社員は、一番新鮮な目を持っています。「ここの表現、ちょっと古くないですか?」「画面が変わっています」といった気づきは宝物です。新人さんに手順書をアップデートしてもらうことで、マニュアルが最新化されるだけでなく、本人にも「チームに貢献した」という意識が芽生えます。これぞ一石二鳥ですよね。

「どこにあるか」が一番大事だったりする

せっかく素晴らしい手順書を作っても、それが「総務部の鍵付きキャビネットの奥にある分厚いファイル」や「誰も見ないファイルサーバーの深層」に眠っていたら意味がありません。

「業務で毎日使う画面」のすぐそばに、手順書があること。 これが鉄則です。 もし普段kintoneを使って業務管理をしているなら、そのkintoneの中に手順書へのリンクや、手順そのものが表示されているのが理想ですよね。

「あれ、どうやるんだっけ?」と思った瞬間、視線を少しずらせば答えがある。そんな環境を作ることができれば、新入社員への教育コストは劇的に下がりますし、教える側の「また同じこと聞かれた…」というストレスもなくなります。 手順書は「作って終わり」ではなく、「必要な時にすぐ手が届く」状態にして初めて完成と言えるのではないでしょうか。

オンボーディング手順書は、単なる業務説明書ではありません。それは、新しく仲間になる人への**「最初のプレゼント」であり、「私たちはあなたを歓迎しています」というメッセージ**でもあります。

完璧なものを作る必要はありません。まずは、「初日のPCセットアップ」だけでも、わかりやすく書き出してみませんか?その小さな親切が、新入社員の不安を消し、チーム全体の空気まで明るくしてくれるはずです。

みなさんの職場が、新しい仲間にとって「働きやすい!」と思える場所になりますように。応援しています!

次のアクションのご提案

「まずは何から書き出せばいいかわからない」という方は、直近で入社された方に「入社時に何が一番困ったか」をヒアリングすることから始めてみてはいかがでしょうか?現場の生の声こそが、最高の手順書を作るヒントになります。