循環社会を目指す
ふと思い出すことがあります。子どもの頃、海に遊びに行くと、波打ち際にはビニール袋やペットボトルがけっこう漂っていました。
「今日は波あるかな?」と確認するよりも先に、ゴミの浮き具合で海のコンディションがわかってしまう。そんな時代だったように思います。川だって同じです。「この川きれいだな」と感じる場所のほうがむしろ珍しくて、ビニールがプカプカと浮いているのが標準の風景でした。
それが最近はどうでしょう。もちろんまだまだ課題はありますが、三十年前や四十年前と比べると、ずいぶんきれいになったなと感じる場面が増えました。
これって、誰かが一人で頑張った結果じゃないですよね。名前も知らないたくさんの人たちの「ちょっとだけ気をつけよう」が、何十年もかけて重なり合ってできた景色。そう考えると、なんだかしみじみしてしまいます。
LOOP MARCHEのお手伝いをしてきました

「LOOP MARCHE」という循環型の暮らしを目指すイベントのお手伝いをしてきました。会場は屋外の広場で、天気にも恵まれて気持ちのいい一日でした。
ブースを回ってみると、これがなかなか多彩なんです。地元の食材を使った飲食ブース、ハンドメイドの雑貨、古着のお店、それから子どもたちが手を動かして楽しめるワークショップ。ジャンルはバラバラなようでいて、「循環」とか「もったいない」という共通の想いでゆるやかにつながっている感じが、なんとも心地よかったです。
来場者は家族連れがとても多くて、あちこちで小さな子どもたちがはしゃいでいました。お手伝いしながらその風景を眺めていると、こういう場所に親子で遊びに来られるっていいなあとしみじみ思うんです。
「環境のことを考えましょう」なんて堅い言葉で始まるのではなくて、楽しい休日を過ごしていたら自然とそういうことに触れている。そういう入口の柔らかさって、すごく大事だなと感じました。子どもたちにとっては「楽しかった休日の記憶」として残っていくのかもしれないし、それがいつか大人になったときの行動の種になるかもしれない。そんなことを考えていました。
正直なところ、私自身は「環境にやさしい暮らし」に対して、気持ちはあるのに行動がまるで追いつかないタイプです。海が好きだからビーチクリーンに参加したいなと思いつつ、タイミングが合わなくて見送ってしまう。マイバッグはちゃんと持ち歩いているのに、コンビニでつい「袋ください」と言ってしまう。あの瞬間の小さな罪悪感、わかる方も多いのではないでしょうか。「やらなきゃな」と思いながら「でも今日じゃなくても」と先送りする繰り返しで、後ろめたさだけが溜まっていく。
そんな私がLOOP MARCHEに関わるようになったきっかけは、主催しているとても若いお二人との出会いでした。周りのスタッフも若い世代ばかりで、自分が同じ年齢の頃にこんなふうに動けていたかなと、素直にうらやましくなりました。でもうらやましいで終わらせたくない。この人たちの想いに、自分にできるやり方で乗っかりたい。そう思ったんです。
「少しずつでいいんだよ」という言葉の力
LOOP MARCHEに関わる中で一番心に残ったのは、「完璧じゃなくていい。少しずつ参加すればいいんだよ」という感覚でした。環境問題って、真剣に向き合おうとするほど「自分ひとりが何かしたところで」と無力感に襲われがちです。
毎回ビーチクリーンには行けないし、プラスチックをゼロにするのも現実的じゃない。そう思うと何もできなくなってしまう。でもLOOP MARCHEの皆さんのスタンスは「できるときに、できることを、楽しみながら」。肩の力がスッと抜けるような言葉でした。
実際、会場にいた家族連れの皆さんも、環境活動をしに来たというよりは、楽しそうなイベントに遊びに来た感覚なんだろうなと思います。でも、その「楽しそうだから来てみた」が入口になって、ちょっとずつ意識が変わっていく。それでいいんですよね。
考えてみれば、これは仕事でもプライベートでも同じです。何かを始めようとしたとき、いきなり百点を目指すから腰が重くなる。「完璧にやらなきゃ」と気負うから一歩目が出ない。まずは十点でもいいから動いてみたほうが、結局ずっと前に進める。三十年前の海がきれいになったのも、そういう「ちょっとずつ」の積み重ねだったんだと思います。
一ヶ月かけて主催者と一緒にアプリを作った
LOOP MARCHEに関わりながらずっと考えていたのは、「この活動が長く続いてほしい」ということでした。でも何かを継続するのは本当に難しい。最初の三日は燃えるのに、気づいたら元通り。「継続は力なり」なんて誰でも知っているのに、その継続が一番むずかしいわけです。

だったら、続けること自体が楽しくなる仕組みを作ればいいんじゃないか。イベントの約一ヶ月前にそう思いついて、主催者のお二人に相談しました。「こんなアプリがあったら、皆さんの活動が続きやすくなりませんか」と。
最初は「おもしろそうですね」くらいの反応だったのが、話しているうちにお互いのアイデアが膨らんでいって、気づけば本気で作ることになっていました。そこから何度もやりとりを重ねて、どんな機能があったらいいか、どうすれば使う人が楽しく続けられるかを一緒に考えながら、ひとつのアプリを形にしていきました。
仕組みはシンプルです。ビーチクリーンに参加したり、環境に配慮したお店を利用したり、小さなエコ活動を共有するたびに、アプリの中で自分の「木」が少しずつ育っていく。イベントに参加できなくても全然かまいません。
マイボトルを持ち歩いたとか、エコバッグを使ったとか、日常のほんの小さなアクションでも木はちゃんと育ちます。目に見える形で行動が積み上がっていくのって、地味だけどけっこう嬉しいものなんですよね。ゲームの経験値がたまる感覚に近いかもしれません。「楽しいから続く。続くから変わる。」そんなサイクルが、この小さな木から始まったらいいなと思っています。
ありがとうございます。
完璧じゃなくていい。毎回じゃなくていい。「今日はちょっとだけ意識してみようかな」くらいで十分。LOOP MARCHEの若い主催者たちが身をもって見せてくれたのは、まさにその姿勢でした。そして私自身も、一ヶ月間一緒にアプリを作り、当日はお手伝いとして走り回る中で、「少しずつ関わる」ことの楽しさを実感しました。
もし皆さんの日常にも「ちょっとやってみようかな」と思える瞬間があったら、その気持ちを大事にしてみてください。一つ一つは小さくても、きっと何かの形になっていきます。海がきれいになったように、川がきれいになったように、私たちの「少しずつ」は、ちゃんと届いている。そう信じていますし、LOOP MARCHEの景色がそれを教えてくれました。
Gibbons 