会議が脱線しがちだったり、同じ話を何度も繰り返して時間だけが過ぎていく——そんな経験はありませんか。今回は、9セルで思考を整理する「マンダラート」を使い、会議を短時間でスッキリ進める「まんだら会議」の進め方をご紹介します。
■ まんだら会議とは?
「マンダラート」は、9つのセルに要素を書き込み、考えを整理・深掘りする思考のフレームワークです。
もともとは発想法として知られていますが、会議の構造化にもとても相性が良いのが特徴です。
このマンダラートを会議に応用したものが「まんだら会議」。
- 話があちこちへ飛ぶ
- 議題が散らかって整理できない
- どこまで話したか分からなくなる
などの“会議あるある”を防ぎ、議論の芯をつかむのに役立ちます。
■ Step1:議題は事前に「マンダラート」で集める
まんだら会議は、会議前の準備からスタートします。
◎ 準備の方法
- マンダラートの中心に「会議名+日付」を書く
- 外側のセルに、参加者が話したい議題を書き込む
- 全部埋める必要はなし
- 共有できる環境で、自由に入力できるようにしておく
事前に集まった議題は、
- 類似テーマはまとめる
- 時間的に収まらないものは別日へ
- 優先度をざっくり決める
など、議長が軽く整えておきます。
ポイントは「事前に見える化しておくこと」。
これだけで会議中の“議題探し”の時間がゼロになり、生産性が大きく変わります。

■ Step2:会議中はマンダラートを画面に表示して進める
実際の会議では、事前に作成したマンダラートを画面に表示したまま進めます。
◎ この方法が効く理由
- 今どの議題を扱っているのかが一目でわかる
- 話がそれたときに“視線のアンカー”として中心セルに戻れる
- 議論が抽象的になっても、第二マンダラで分解すれば整理できる
つまり、脱線しにくい環境が自然とできるというわけです。
■ Step3:1セルずつ議題を深掘りする

会議の進め方はとてもシンプルです。
◎ 進行の流れ
- 外側の1セルを選ぶ
- 議題を中心にした“第二のマンダラ”を作る
- セルごとに論点を絞って話す
- 話が広がったら、中心に視線を戻す
- 抽象的ならセルを追加して分解する
「今、何の議論をしているのか」が明確になるため、話の迷子がなくなります。
■ なぜ、まんだら会議は迷走しないのか?
●(理由1)視覚化による“地図”があるから
言葉だけの会議は、どうしても認識のズレが生まれやすいもの。
マンダラートがあることで、議論の“地図”が共有され、迷子になりません。
●(理由2)1セル=1テーマで話が散らからない
セルの枠によって、テーマの境界線がはっきりします。
テーマを1つずつ処理することで、話が混ざることがありません。
●(理由3)中心に戻ることで自己修正できる
参加者が「ちょっと脱線しそうだな」と感じたとき、
自然と中心セルへ戻る意識が働きます。
ファシリテーターの負担が軽くなるのも嬉しい点です。
■ まんだら会議は、どんな場面と相性が良い?
◎ 業務改善の打ち合わせ
現場からの課題が多く、話が広がりやすい場面ほど効果を感じやすいです。
たとえば、
- 業務フローの見直し
- 新しい仕組みの検討
- 人手不足に伴う改善策
など。
◎ 部署横断のミーティング
立場や視点が違うと、話がずれやすいもの。
マンダラートは論点のズレを可視化し、共通認識を作りやすくします。
◎ 教育・研修に関する会議
「何を教えるべきか」「どこが課題か」を構造的に分解できるため、議題の抜け漏れを防ぎます。
◎ 新規プロジェクトの立ち上げ
アイデア出し、課題抽出、役割分担に活用でき、話し合いの全体像をつかみやすくなります。
■ まんだら会議を上手く使う5つのコツ
● コツ1:議題は“埋める”より“集める”
無理に8つ埋める必要はありません。
参加者が気軽に出せる仕組みづくりが大事です。
● コツ2:抽象的な議題は第二マンダラで分解
「結局何の話?」という状態を防ぎ、議論が深まります。
● コツ3:1セルごとに時間を決める
1セル10〜15分が目安。
長引きそうなら「後日扱う」勇気も大切です。
● コツ4:議論の途中で地図を更新する
マンダラートは“変化して良い”ツールです。
書き直しながら進めることで、より整理された議論になります。
● コツ5:最後に“空白のセル”を振り返る
未処理のテーマを残したまま終わらないよう、最後に空白のセルをチェックします。
■ すぐに始められる“まんだら会議スターターセット”
- 事前にマンダラートシートを共有する
- 中心に「会議名+日付」
- 外側に議題を自由に書き込む
- 会議中はシートを表示
- セルごとに話す
- 脱線したら中心に戻る
- 第二マンダラで分解する
- 会議後はそのまま議事録にする
小さな会議ほど、すぐに効果が体感できます。
まんだら会議は、議論に“地図”を持たせる方法です。会議の迷走が気になる方は、まずは小さな会議から試してみませんか。構造化の力が、大きな変化を生んでくれます。
Gibbons 