業務改善がカオスになる前に|カイゼンを「体系化」するSDCA/PDCAの回し方

「昨日までのやり方と違う…」「人によってルールが違う」
業務改善に前向きなはずなのに、現場が混乱してしまう。そんな経験はありませんか?
カオスを防ぎながら改善を進めるには、“役割の切り分け”と“型”が必要です。

なぜ業務改善は、うまくいかなくなるのか

業務改善の相談を受けていると、よく出てくるのがこんな声です。

  • 現場が独自にやり方を変えてしまう
  • せっかく決めたルールが守られない
  • 改善したはずなのに、逆に混乱した

不思議ですよね。
みんな「良くしよう」と思っているのに、結果はバラバラになる。

この原因、多くの場合は「権限と役割が曖昧」なことにあります。

全員が勝手に変えると、業務は壊れる

改善のアイデアは、現場にこそあります。
実際に手を動かしている人ほど、「もっとこうした方がいい」と気づけるものです。

でも――
そのアイデアを、各自が好きなタイミングで実行してしまったらどうなるか。

  • Aさんは新ルール
  • Bさんは旧ルール
  • Cさんは自己流

こうして、業務はあっという間にカオスになります。

一方で、「トップが全部決める」やり方も万能ではありません。
現場の声が反映されず、「やらされ感」だけが残ってしまうことも多いのです。

鍵は「提案は全員、判断はリーダー」

ここで大切になるのが、権限の切り分けです。

提案のチャンスは全員に
実行の判断はリーダーに

この考え方があるだけで、業務改善はぐっと安定します。

  • 現場:気づいたことを自由に提案できる
  • リーダー:全体を見て、採用・見送りを判断する

「勝手に変えない」「でも黙らせない」
このバランスが、組織を強くします。

SDCAとPDCAを“使い分ける”という発想

業務改善の世界ではよく知られている
SDCA/PDCA という考え方。

でも実は、ここを混同してしまっている現場がとても多いのです。

まずはSDCA(守る・回す)

  • S(Standard):決めたやり方を
  • D(Do):実行し
  • C(Check):守られているか確認
  • A(Act):定着させる

これは「今の業務を安定させるためのサイクル」です。

改善した直後は、まずここをしっかり回すことが大切。
土台が固まっていない状態で、次の改善に進むと混乱します。

改善するときだけPDCAを回す

一方、改善案を検討するときに使うのが PDCA

  • P(Plan):改善案を考え
  • D(Do):試し
  • C(Check):結果を見る
  • A(Act):次に活かす

ここで重要なのは、
PDCAは「全員が同時に回すものではない」という点です。

改善テーマを決め、担当やリーダーが中心となって進める。
決まったら、再びSDCAへ戻す。

この切り替えができると、改善は加速します。

「改善メモ」が、組織の知恵になる

「いいアイデアが出ても、そのまま流れてしまう」
これもよくある悩みです。

おすすめなのは、

  • 気づき
  • 改善案
  • 試した結果

その都度、残していくこと

完璧な文章でなくて構いません。
箇条書きでも、ひと言メモでもOK。

こうした記録が積み重なると、

  • 新人教育が楽になる
  • 同じ失敗を繰り返さなくなる
  • 改善が“属人化”しなくなる

といった変化が起きてきます。

「あ、これ前にも話したな」が減ってくると、ちょっと嬉しくなりますよ。

小さく始める、がいちばん続く

業務改善というと、
「大きく変えなきゃ」と気負ってしまいがちですが、実は逆です。

  • 1つの業務
  • 1つのルール
  • 1つの改善案

ここからで十分。

まずは
「決めたことを、みんなで同じようにやる」
それだけでも、現場はかなり楽になります。

業務改善を成功させる鍵は、
「全員で考え、決める人が決める」仕組みづくり。
SDCAとPDCAを使い分け、小さな改善を積み重ねていきましょう。
その一歩が、組織を確実に強くします。