〜視点を変えることで見える、業務効率化の簡単な始め方〜
「うちにはITに詳しい社員がいないから、業務改善なんて無理ですよ。」
中小企業の経営者やリーダーの方々から、こんな声をよく伺います。
確かに今は、ITを使って業務効率化を図る時代。しかし専門人材の採用は簡単ではなく、人手不足も深刻です。
でも本当に「ITのプロ」がいないと、業務改善はできないのでしょうか?
実は、この考え方こそが業務改善を遠ざけてしまう“思い込み”なのです。
視点を変えると、業務効率化はもっと簡単に始められることに気づけます。
この記事では、中小企業に多い悩みを例に、「ITに詳しくなくてもできる業務改善」の具体的なアプローチを、kintoneというローコードツールを使った事例を交えながらお伝えします。
あなたの会社でもきっとできるヒントが、ここにあります。
「詳しい人がいないから無理」という思い込みの正体
中小企業の現場では、こんな課題をよく耳にします:
- 「担当者しか分からない仕事が多すぎる」
- 「マニュアルがないから新人教育に時間がかかる」
- 「毎回同じような資料を作っている」
- 「そもそも何がムダなのか分からない」
そして多くの方が、これらを解決するには「システムに詳しい人が必要」と考えます。
しかし、この考え方が業務改善の第一歩を阻んでいるのです。
視点を変える:業務の専門家は現場のあなたたち
本当に詳しい人とは誰でしょうか?
実は、業務のことを一番よく分かっているのは「今、その業務を行っている現場の皆さん」です。
- どこで手間がかかっているか
- 何が無駄だと感じているか
- どんな順番で作業しているか
これを一番知っているのは、ITの専門家ではなく現場の人。
だから業務改善のアイディアを出せるのも現場の皆さんです。
ITはその実現を助ける「道具」にすぎない。
今はITを使わなくても、改善のタネは現場の人が持っているのです。
kintoneで業務改善が「簡単」にできる理由
とはいえ「ITは苦手」という不安は拭えないもの。
ここで役立つのが、ローコード・ノーコードツールの存在です。
代表例が、サイボウズの「kintone」です。
kintoneとは?
- ブラウザ上で動く業務アプリ作成ツール
- プログラミング不要
- 項目をドラッグ&ドロップで画面設計
- データを一覧表示や集計も簡単
- 権限設定も管理画面で直感的に設定できる
要するに、「Excel感覚」でアプリを作れるのが魅力です。
現場主体で始める業務改善のステップ
では、ITの知識がなくても進められるkintone活用の流れを、具体的にご紹介します。
ステップ1:業務の棚卸し
まずは「何が無駄か」「どこに手間がかかっているか」を洗い出します。
- よく使う帳票・書類を並べてみる
- 頻繁にやり直している作業を挙げる
- 「この作業、なくせないかな?」と話し合う
ここで大事なのが、全員で目次を作る感覚です。
マニュアルを作るのではなく、まず「どんな仕事があるか」「どんな流れか」の目次を作ってみる。
これを共有するだけで業務改善の第一歩が踏み出せます。
ステップ2:簡単なアプリを作ってみる
kintoneの良いところは、試しに作ってみてすぐに動かせること。
例えば:
- 「日報」アプリ
→ 項目を並べるだけ。集計も自動でできる。 - 「顧客管理」アプリ
→ Excelに書いていた内容をそのまま入れ込むだけ。 - 「タスク管理」アプリ
→ 案件の進捗を見える化できる。
これらは全部、ITの専門知識ゼロで作成可能です。
ステップ3:運用しながら直す
最初から完璧を目指さなくても大丈夫。
使いながら「ここを増やしたい」「この項目いらない」などを修正すれば良いのです。
これが従来のシステム開発と決定的に違う点。
昔のシステムは一度作ったら簡単に変えられませんでしたが、kintoneは運用しながら育てられるのです。
成功事例:IT担当ゼロの会社が見つけた改善の突破口
例えば、私が支援したある建設業(従業員約30名)ではこんなことが起きました。
課題
- 日報が手書き → Excel転記 → 集計 → 報告書作成
- 同じ作業を3回やっていた
- 現場と事務所の情報共有に時間がかかり、残業が毎月20時間超
取り組み
- 現場監督や事務スタッフ全員で「日報の目次」を話し合い、必要項目を決定
- kintoneで日報アプリを作成
- 集計グラフを自動表示
結果
- 転記作業がゼロに
- 残業が月10時間以下に半減
- 報告書作成が5分で済むように
- 現場状況がリアルタイムで共有可能に
ITに詳しい人は一人もいませんでした。
「業務の中身を知るのは現場の自分たち」という発想の転換が、大きな成果につながった例です。
よくある障壁と克服法
「操作が難しそうで不安」
→ 触って覚えるのが一番
kintoneは失敗してもすぐ直せます。まずは1つだけ簡単なアプリを作ってみましょう。
「忙しくて時間が取れない」
→ 全てを完璧にやろうとしない
まずは10分だけ業務の目次を書き出すことから。小さく始めれば負担は最小限です。
「トップが興味を示さない」
→ 数字で見せるのが効果的
手作業の時間を計算し、「この作業がなくなると月何時間浮くか」を示すと説得力が増します。
業務改善は「視点を変える」ことから始まる
「ITに詳しい人がいない」という悩みは、今やローコードツールによって乗り越えられる時代です。
業務効率化は現場が主体でこそ進むもの。
- ITはあくまで道具
- 完璧を目指さない
- 小さく始めて育てる
これらが、中小企業にとっての業務改善を「簡単」にするポイントです。
もしあなたの会社で「何かを変えたい」と感じたなら、まずは10分、業務の目次を書き出してみてください。
その小さな一歩が、驚くほどの効率化への道を開きます。
【具体的アクション】
- 社内で「業務の目次を書き出すワーク」を開いてみる
- kintoneの無料お試しを使って1つアプリを作ってみる
- 毎週10分だけでも改善ミーティングを継続する
「ITに詳しくなくてもできる業務改善」――視点を変えれば、あなたの会社も必ず実現できます。