中小企業のリーダー・経営者の皆様、日々の業務、お疲れ様です。 「もっと効率的にできないか」「この作業、なんとかならないかな」 そんな想いから、ご自身や部下の方が、業務の中で様々な「工夫」をされていることと思います。 新しいツールを導入してみたり、自分なりのやり方を見つけて作業時間を短縮したり。 素晴らしい取り組みです。ですが、そこで一つ、私がお伺いしたいことがあります。
「その工夫、他の人に渡せる状態になっていますか?」
「え、どういうこと?」と思われたかもしれません。 実は、個人的な「良い工夫」で終わってしまっているケースが非常に多いのです。 自分だけが楽になる、自分だけが理解している業務改善では、残念ながら会社全体の生産性向上には繋がりません。
あなたの会社にも潜む「属人化」という名の落とし穴
「うちの〇〇さんじゃないと、あの仕事は分からないんだよね…」 「急に担当が変わったら、あの業務が止まってしまうんじゃないか…」 心当たりはありませんか?
特定の社員しかその業務を理解していない「属人化」は、中小企業にとって深刻な課題です。
- 担当者不在時の業務停滞: 休暇や退職などで担当者がいなくなると、業務が滞り、最悪の場合、顧客に迷惑をかけてしまうことも。
- 新入社員教育の非効率化: 業務のノウハウが共有されていないため、新入社員の教育に時間がかかり、即戦力化が遅れる。
- ムダな時間とコストの発生: 同じような作業を、各自がバラバラの方法で行うため、重複作業や非効率な手順が温室され、全体としてムダな時間とコストがかかる。
- 生産性向上の阻害: 個人のスキルに依存するため、組織全体の生産性が伸び悩む。
これは、せっかくの「いい工夫」が、個人の領域に閉じ込められてしまっている状態です。 会社の成長を考える上で、この属人化という壁を乗り越えることは、避けて通れない道なのです。
kintoneが拓く「みんなで楽になる」業務改善の道
そこで、多くの企業で属人化解消と業務効率化に貢献しているのが、サイボウズ社の提供するクラウドサービス「kintone(キントーン)」です。 「ツールを導入するなんて大掛かりでしょ?」そう思われるかもしれません。しかし、kintoneは非常に柔軟性が高く、プログラミングの知識がなくても、自社の業務に合わせてシステムを構築できるのが大きな特徴です。
kintoneでできることは多岐にわたりますが、特に属人化解消に効果的な点は以下の通りです。
- 情報の集約と共有: 顧客情報、案件進捗、日報、備品管理など、社内のあらゆる情報を一箇所に集約し、必要な人が必要な時にアクセスできる環境を構築できます。これにより、「あの情報、誰が持ってるんだっけ?」といった探す手間がなくなります。
- 業務プロセスの可視化: どの部署で、誰が、どのような手順で業務を進めているのかを「見える化」できます。これにより、無駄な工程や重複作業を発見しやすくなります。
- 承認フローの電子化: 申請書や稟議書などの承認プロセスを電子化することで、紙でのやり取りやハンコのために出社する手間がなくなります。承認状況も一目で分かり、滞留を防ぎます。
- コミュニケーションの円滑化: 各情報にコメントを書き込んだり、担当者を指定して通知したりすることで、業務に関するコミュニケーションが活発化し、情報共有の漏れを防ぎます。
実際に導入してみよう!中小企業のためのkintone導入ステップ
「でも、どうやって始めればいいの?」という疑問にお答えするため、中小企業でkintoneを導入し、成果を出すための実践的なステップをご紹介します。
- 小さく始める「スモールスタート」を意識する いきなり全社的なシステムを構築しようとすると、時間もコストもかかり、失敗するリスクも高まります。まずは、最も課題を感じている部署や、属人化が進んでいる特定の業務から始めるのが成功の秘訣です。
- 例: 営業日報の入力、顧客からの問い合わせ管理、社内備品管理など
- 現状業務の「見える化」と課題の特定 現状の業務フローを書き出し、「誰が、いつ、何をしているのか」「どんな情報が、どこに、どのように保管されているのか」を把握しましょう。その中で、「ここは効率が悪い」「この情報、探しにくいな」といった具体的な課題を特定します。
- kintoneでプロトタイプ(試作品)を作ってみる 特定した課題を解決するために、kintoneの「アプリ」を作成してみましょう。kintoneは、Excelのような感覚で簡単にデータベースを作成し、入力フォームや一覧画面をカスタマイズできます。
- 専門知識は不要です。まずは「こんな風に情報が入ったらいいな」というイメージで作ってみましょう。
- 関係者と「使ってみる」「意見を聞く」 作成したプロトタイプを、実際にその業務に携わるメンバーに使ってもらい、フィードバックをもらいましょう。「もっとこうだったら使いやすい」「この項目は不要」といった現場の声を吸い上げ、改善を繰り返します。
- 少しずつ範囲を広げていく 一つの業務で成功体験を積んだら、徐々に他の業務や部署へと適用範囲を広げていきます。成功事例が社内で共有されることで、他の社員も「自分たちの業務も改善できるかも」と前向きに捉えるようになります。
kintone導入で得られる具体的な効果
kintoneを導入し、業務改善を進めることで、以下のような具体的な効果が期待できます。
- 情報探しの時間削減:
- 「あの書類どこだっけ?」と探す時間がなくなり、1日あたり30分〜1時間の削減効果が期待できます。
- 社員20人の会社であれば、毎日20時間分の生産性向上に繋がります。
- 新入社員のオンボーディング期間短縮:
- 業務マニュアルや過去のデータがkintoneに集約されているため、新入社員が業務を覚えるまでの期間が20%〜30%短縮されます。
- 承認プロセスの迅速化:
- 電子化された承認フローにより、稟議や申請の承認にかかる時間が平均で半分以下になります。緊急の案件でもスピーディーに対応できます。
- 顧客満足度の向上:
- 顧客からの問い合わせ履歴や対応状況が共有されるため、誰が対応しても一貫したサービスを提供でき、顧客満足度が向上します。
これらの効果は、数値として表れにくいものもありますが、確実に日々の業務に良い影響をもたらし、結果として会社の利益に貢献します。
よくある障壁と乗り越え方
kintone導入を進める上で、いくつか障壁にぶつかるかもしれません。
- 「今のままで十分」という抵抗:
- 「新しいことを覚えるのが面倒」「今のやり方で慣れているから」といった抵抗はつきものです。
- 克服法: まずは、特定の部署や業務で小さな成功事例を作り、その効果を具体的に見せることから始めましょう。無理強いするのではなく、「こんなに楽になったよ」と体感してもらうことが大切です。
- 導入後の「使われない」問題:
- 導入したはいいものの、結局使われずに形骸化してしまうケースもあります。
- 克服法: 導入後も定期的に運用状況を確認し、改善点があれば積極的に手を加えましょう。また、困った時にすぐに相談できる担当者や社内コミュニティを作ることも有効です。
- 「どう作ったらいいか分からない」という悩み:
- 「アプリの作り方が分からない」「どんな項目を設定すればいいの?」といった疑問が出てくることもあります。
- 克服法: kintoneの公式サイトには豊富なヘルプ情報や活用事例があります。また、私たちのようなkintone導入支援の専門家にご相談いただくのも一つの手です。
次のステップへ ~あなたの「いい工夫」を会社の力に~
「それは人に渡せる状態になってますか?」 この問いかけは、あなたの会社がさらに成長していくための大切な視点です。 せっかくの「いい工夫」を、個人的なものに留めておくのはもったいない。 kintoneは、その「いい工夫」を会社全体の財産に変え、組織全体の生産性を高めるための強力なツールです。
まずは、自社の業務の中で「これは人に渡せるようにしたい」と思う小さな課題を見つけてみませんか? その一歩が、きっとあなたの会社の未来を大きく変えるはずです。
もし「何から始めたらいいか分からない」「自社に合った活用方法を相談したい」とお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、中小企業の皆様がkintoneを活用し、業務改善を実現できるよう、実務に即したご支援をさせていただきます。
あなたの「いい工夫」を、会社の「強い力」に変えるために。 今こそ、業務改善の第一歩を踏み出しましょう。