〜視点を変えると、見えてくる「アイディア」と「工夫」〜
なぜ、業務改善がうまく進まないのか?
「業務を改善したい」と思っていても、実際には何から始めればいいのか分からない──。これは私たちが支援する多くの中小企業から聞こえてくる、共通の悩みです。
たとえば、Excelで管理されていた在庫情報が混乱していても、「それが当たり前」となっていたり、他部署とのやり取りに時間がかかっていても、「昔からそうだった」と改善の手が入らないままになっていることも。
こうした現象の根本的な原因は「現場の視点に偏りすぎていること」にあります。日々の仕事に追われ、目の前の業務をこなすことに集中するあまり、会社全体を俯瞰して見る視点が欠けてしまうのです。
発想の転換:「社長になって考えてみよう」
そこでおすすめしたいのが、「社長役になって業務改善を考える」というワークショップ形式のイベントです。
これは、従業員一人ひとりに「社長になったつもりで会社全体の業務を見直してみる」ことで、部門間の連携や現場の非効率を新たな視点で捉え直す、というものです。
このアプローチのポイント:
- 視点を変えることで、普段見えていなかった課題が見える
- 他部署に対する理解が深まり、改善の視野が広がる
- 責任者としての立場でアイディアを出すことで、当事者意識が高まる
- 普段発言しにくい従業員からも、意外な提案が飛び出すことも
具体的な進め方とステップ
ステップ1:テーマを設定する
「日報業務」「問い合わせ対応」「在庫管理」など、業務改善したいテーマを1つに絞ります。
ステップ2:社長役を任命する
部署ごとに1名程度、「この業務を俯瞰して見る社長役」を任命します。全体をまとめる必要はなく、あくまで「全社的な視点をもって考える役割」として設定します。
ステップ3:kintoneで情報を可視化する
kintoneを活用して、業務フローやデータの流れ、各部門の役割を「見える化」しておきましょう。これにより、参加者は情報の断片ではなく、流れとして業務を捉えやすくなります。
ステップ4:アイディア出し
付箋やマンダラート、kintoneの掲示板機能などを使って、改善案を自由に出し合います。ここでは評価や批判はせず、「どんな小さな工夫も歓迎する」姿勢を大切にします。
ステップ5:アクションプランを作成
出されたアイディアの中から、すぐに取り組めるものを選定し、責任者と期限を設定して実行します。
実際の効果:ある中小製造業の事例
社員数35名の製造業A社では、この「社長になってみるワークショップ」を導入したところ、以下のような成果が生まれました。
- 全社にわたる紙帳票の手入力作業をkintoneに移行(年間120時間削減)
- 製造部と営業部での進捗共有がスムーズになり、クレーム件数が月5件→1件に減少
- 従業員から「自分たちが改善できる」という空気が生まれ、自発的な提案が増加
このように、視点を変えるだけで、業務の見え方と改善の可能性は大きく広がります。
よくある障壁と乗り越え方
障壁 | 克服法 |
---|---|
「うちの社員に社長役は荷が重い」 | 役職や立場ではなく「ゲーム感覚」で設定することで心理的ハードルを下げる |
「何から見直せばいいか分からない」 | kintoneで業務の流れを図にして見える化するところから始める |
「提案が実行に移されない」 | アイディア出し後に必ず実行プランをつけ、フォローする仕組みを整える |
次の一歩:「業務改善」を文化にする
この「社長になってみる」体験は、一度やって終わりではなく、定期的に開催することで「業務改善はみんなで取り組むもの」という文化を育てていくことができます。
また、kintoneで集めた改善案や進捗をアプリで管理していけば、誰でも状況を把握できる仕組みが整い、属人化の防止にもつながります。
まとめとアクションへの促し
業務改善において最も大切なのは、「他人ごとではなく、自分ごととして考える」こと。そして、それを可能にするのが「視点を変える」ことです。
「社長になってみる」というシンプルな発想が、現場の気づきと行動を引き出し、改善の好循環を生み出します。
まずは、自社で一度やってみませんか?
小さなアイディアが、組織を変える大きな一歩になるかもしれません。