離職率が高い会社にこそ見直しが必要なもの
なかなか新卒者が定着しない。
若者の離職率が高い。
そんなお悩みを抱えている個人店や中小企業の人事担当者もいるかもしれません。
そんな離職率が高い会社にこそ見直しを必要とするものがあります。
それは「マニュアル」です。
離職率を下げる
サイボウズという大手IT企業がありますが、かつて離職率が28%あったのを、働き方改革を行い、離職率3%前後に改善したそうです。
サイボウズ社長、青野さんのお話しだと「社員が嫌だと思うところを次々と改善していった」ことで離職率を徐々に下げることができたそうです。
このような方法は、大手企業でないとすぐには実施が難しいですよね。
新入社員が3年以内に離職する理由については、労働条件の不一致、人間関係、仕事内容が合わない等、様々な理由が考えられますが、基本的な仕事内容を伝える「マニュアル」をきちんと作成することにより、下記のようなメリットがあり、それが離職率を下げることにも繋がるのです。
- スピーディに仕事内容を理解できる
- 何度も先輩に聞き直しせずに済む
- 自らマニュアルを見て覚えることで自信が湧く=仕事が好きになる
- 教える側と教えられる側が効率的に作業ができる
- 1〜4までの結果、社内で深いつながりをもった関係性を築くことに繋がる
仕事への不満を減らすことは、離職率を下げる要因になります。
優秀な社員を企業内にとどめておくための「人材維持」を人事用語で「リテンション」と呼ぶそうですが、労働条件や人間関係はすぐに改善が難しいものが多いので、先ずは、出来るところからリテンション施策を始めてみるのが良いと思います。
何故「マニュアル作成」が良いのか、その理由をもっと詳しくみて行きましょう。
新入社員はマニュアルや手順書があると安心する
新入社員が業務を行う上で、マニュアルや手順書は必要なものです。
一度口頭で教わったものを再度確認したい時、マニュアルが常に見れる環境であれば安心して作業ができます。
マニュアルは、作業手順だけでなく、会社としての方向性やあるべき姿を伝える重要なものにもなります。
まだ業務に慣れていない、またはこのケースはどうするべきか?忙しそうに仕事する先輩の手を止めて確認するまでもない事は、マニュアルを見て解決できるならそれに越したことはないのです。
品質を揃える
新入社員に限った話しではないのですが、マニュアルは、業務の標準化を図り、生産性を高めることも可能です。品質を揃えるという意味でも業務の標準化が必要なのです。
マニュアルがあれば、できる人とできない人の差が縮まり、最善の方法を標準とすることができます。
教わるのが楽
マニュアルがないと、各担当者の力量によって教える内容がバラバラになってしまうケースがあります。
先生としての素質があり、尚且つより良いやり方を行っている先輩なら問題ないのですが、担当者によっては、分かりにくい、理解するまでに時間がかかってしまう等、教える側の問題も大きく関わってきてしまいます。
教える方もラク
以前私が勤めていた会社では、マニュアルがなく、新人さんが入ってきた際に自分が教えなくてはならず、業務が多岐に渡っていたこともあり、教えるのにかなり苦労した経験があります。
教えている間は、自分の仕事は後回しになるので、少しでも効率的に教えたいものです。
どうやったら覚えてもらいやすいか、どの順番で教えたら良いのか、作業を行う理由を伝えなくては等、常に教える側が考えなければなりません。
それはそれで本人にとっては成長になりますが、経営者側から見れば、教える度に時間が取られてしまうのは非効率なだけです。
我流で教えるリスク
マニュアルなしで教えることのリスクとしては、会社が意図しないやり方や考え方が伝わる可能性があります。
ついつい「これはやらなくて良いだろう」「この作業は時間がかかるのでこうしてしまおう」と教える側が良かれと思って教えても本来あるべき部分を欠いて説明してしまうことがあります。
マニュアルがない会社は、指示は全て口頭でしか受けていないので、教える側になった時も、教える内容が曖昧になりやすいのです。
マニュアルがあれば、教える先輩も迷わずより良い伝え方で教えることができます。また、担当者により教え方にバラつきが出ることも最小限に抑えられます。
マニュアルを生きたものにする
離職率を下げるのに、小規模店舗や中小企業がまず着手しやすく、且つ業務上必要なのが「マニュアル」なのです。
ただ、一度作成して終わりにしてはいけません。
書かれている手順や思想は本当に最善だろうか?と定期的に見直しを行う事や、新たな変更点があった時に修正をかけ、アップデートすることが重要です。
この更新作業を忙しい管理職が行おうとすると作業が滞りがちです。ですので、思い切って新入社員に更新内容を考えてもらい、管理職が「承認する」流れができると良いでしょう。
新入社員にとっても「マニュアルを更新する」という使命感が湧き、仕事を早く覚えて成長するチャンスとなります。
きちんとマニュアルを作成し更新していくことにより、新入社員は基本の仕事を覚えるだけでなく、会社の一員となり定着に一役買うのです。