実は多い!導入後の問題

「kintoneは導入したけど活用できていない…」を乗り越えるために大切な視点

「kintoneを導入したのに活用できない…」その本当の理由とは?

中小企業の現場から、こんな声がよく聞こえてきます。

  • 「とりあえずアプリは作ったけど、誰も使ってくれない」
  • 「kintoneの便利さを感じられないまま止まってしまった」
  • 「アプリが散らかっていて、むしろ手間が増えた気がする」

実は、こうした“導入後の活用課題”は非常に多くの企業に共通しています。
問題の本質は、「システムが悪い」わけでも「使う人が悪い」わけでもなく、kintoneというツールの“特性”を理解しきれていないことにあるのです。

kintoneは“完成されたツール”ではない

従来の業務システムやツールは、「こう使ってください」という明確な設計思想に基づいて作られています。会計ソフトであれば「仕訳入力→帳票出力」といった決められた手順があり、それをなぞれば業務が完了します。

一方、**kintoneは「何も決まっていない箱」**です。

  • どんなアプリを作るか
  • どうやって運用するか
  • ゴールをどこに設定するか

これらをユーザー自身が考え、組み立てる必要があります。つまり、kintoneは「課題解決のためのキャンバス」であり、アイディアや工夫なしでは真価を発揮しません。

活用できない企業が陥りがちな3つのパターン

1. アプリを作って満足してしまう

作ることが目的になり、運用が伴わないパターンです。アプリは業務の流れに乗って初めて意味を持ちます。誰が・いつ・どう使うかまで想定することが大切です。

2. マニュアルが整備されていない

せっかく良いアプリを作っても、「使い方がわからない」「どこを見ればいいかわからない」となってしまえば定着しません。見やすく、すぐに使えるマニュアルは、活用定着の鍵となります。

3. 全体最適でなく、個別最適になっている

部署単位でバラバラにアプリを作ると、情報が分断され非効率になります。会社全体の業務フローを俯瞰して見る視点が重要です。

解決の糸口は「視点を変える」こと

kintoneを活かす最大のポイントは、業務を見つめ直す視点の持ち方です。

たとえば:

  • 「この作業、本当に必要?」
  • 「もっとラクにできる方法はない?」
  • 「誰かが困っている作業を、仕組みにできないか?」

といった問いをチームで共有し、アプリという形にしていく。
この“考える力”と“仕組み化”の連携こそが、kintone活用の真骨頂です。

成功事例:製造業A社のケース

従業員30名ほどのA社では、初期に導入した日報アプリのみが使われている状態でした。
そこで、各部署から「困っている業務」をヒアリングし、次のようなアプリを段階的に導入しました。

  • 作業工程のチェックアプリ
  • 部品在庫の共有アプリ
  • 業務のマニュアルを表示するナレッジアプリ

さらに、アプリの使い方を簡単にまとめたマニュアルをkintone内に整備
この取り組みによって、現場の混乱は激減し、事務処理時間が約30%削減、月に1〜2件のペースで業務改善提案が増えていきました。

よくある障壁とその乗り越え方

課題対処法
アプリ作成に時間がかかる完璧を目指さず、小さく始めて育てていく
使い方が定着しない見やすく・使いやすいマニュアルを整備する
属人化してしまうチームでの共有やワークショップで関心を広げる
現場が使ってくれない実際の業務にフィットさせ、声を反映することで「自分たちのツール」にする

次に目指すべきステップ

導入後、「何ができるか」から「何をしたいか」へ。
次に取り組むべきは、「仕組みを育てる文化づくり」です。

  • 月1回の改善ミーティングを設ける
  • kintone活用の“社内紹介”を行う
  • マニュアルを更新し、誰でも使える状態を保つ
  • チームで新しいアプリのアイディアを出し合う

こうしたアクションが、業務を愉しくするきっかけになります。

アイディアと工夫が、業務を変えていく

kintoneは、ただの「ツール」ではなく、現場のアイディアを形にできる仕組みです。
そして、そのためには工夫が必要です。
仕組みは一度作って終わりではありません。マニュアルも含めて運用していくことが成功の鍵となります。

業務効率化に必要なのは「特別なITスキル」ではなく、「日々の仕事をより良くしようという視点」。
今の業務の中にこそ、変革のヒントが隠れているのです。